Cyes

ビリヤードのこと書きます。

類友を呼ぶ

早起き三文の得と言いますが、奥さんと息子の手前、夜の玉撞きはめっきり控えた朝型プレイヤーといえば、僕のことです。朝の三時に起きては、車で15分くらいのネカフェに行き、深夜の割安価格で入場し、午前中いっぱい玉遊びをするわけですが、ボチボチ従業員から変なあだ名がつけられている頃でしょう。

さて、そんな朝型プレイヤーですが、まあ人に会うことなどほとんどありません。ビリヤードといえば、夜の社交場を賑わす大人の遊び。男と女が刺しつ刺されつつ一夜のトキメキを求めるダンディな世界という設定のもと、若干ネジが外れたおっさんたちがクダ巻きながら夜な夜な玉を撞きたおす業界です。実際ビリヤード場も午後からってところが多く、朝から玉を撞こうなんてヤツは僕くらいでしょう。そんなこんなでもっぱら一人練習が多いのですが、ここ最近僕と同じ時間に来る人がいるんです。24時間営業のネカフェとはいえ、まだ日が登らぬ朝っぱらからマイキューもったおっさん二人が出現する場所は、日本広しと言えど他にないでしょう。もっとも、朝の4時から12時やるアホは僕くらいなもんで、その人はだいたい6時から9時ですが。

無論、ハスラー二人が出会って何もないはずがありません。相手を見るやいなや静かな闘志を燃やし、勝負が始まるわけです。ようやく白みかけた朝っぱらからマイキューもったおっさんが勝負している場所は、アジア広しと言えど他にないでしょう。まあ実力的にはお互いA級ですから、それなりに熱い戦い行われており、お互い静かな攻防と誰もいない静寂の中、ただ玉と玉ぶつかる音が響きます。最後のゲーム終わると、そこにいるのは、共に戦ったライバル。お互い健闘を讃え合うわけです。

当然お話も弾むわけですが、お互いなんでこんな時間いるのかが気になるところ。僕は正直に家庭の事情を話したところ、なんと彼もまったく同じ境遇だったのです。スズメ囀る爽やかな朝っぱらから奥さんと息子に気を使っているおっさん二人が出現する場所は、世界広しと言えど他にないでしょう。

 

母さん。僕ともだちできたよ。

かくして、僕は玉撞き仲間、ライバル、理解者を手に入れたのでした。